今でこそ当たり前のようになっている生花で飾られた祭壇ですが、一般的に広く普及をされはじめたのは、まだそれほど昔の話ではありません。時代は大節を迎える目前となる90年代後半のこと、白木祭壇はすっかり少なくなっていきました。
代わりに増えていったのが、季節の花を取り入れつつ葬儀にもふさわしい、花々をあつらえた生花祭壇です。高貴な色合いの紫に落ち着き払った青色だけではなく、今では桜色や赤色などの花を使うことも珍しくはありません。
ではその飾られた花たちはいったいどうなってしまうのか、葬儀が終われば処分ではもったいないと考えるのも自然なことです。その後の花たちの運命は、遺族たちの意向にもよりますが、参列者が持ち帰ることもあります。
すべての人が肯定的に受け止めるわけではなく、持ち帰りにあまり良い考えをもたないこともありますが、実はどちらでも構いません。持ち帰って参列者の家で飾ってもらえれば、花たちはそれだけ自分の命を長く活かすことができます。でも否定的な考えなら、別に配って持ち帰ってもらわなくても構わないわけです。毎回葬儀の際に飾って、1回だけの登場で捨てるのは、忍びないという気持ちを持つ人もあれば、そこは持ち帰らないと思う人もいてもおかしくはありません。