葬儀は通常、故人の遺体を祭壇に置いて行います。遺族や参列者との最後の別れを行い、その後で火葬を行いますが、故人の火葬を先に行ってから葬儀に取り掛かる地域も少なくありません。故人を火葬してから弔うのは前火葬と呼ばれていますが、道が険しい山間地や海沿いの地域で普通に行われています。
最初に故人を火葬するのは遺体を保管する都合が関係しているためであり、特に参列者が即座に集まることができない地域では前火葬が主流です。山間地は険しい山道を行くのに時間がかかるため、参列者が必ずしもすぐに到着できるとは限りません。
海沿いの町では漁業関係者が仕事の都合上、すぐに戻ることができないのが理由になっています。参列者を待っていると遺体が傷むため、先に火葬を済ませるようになりました。前火葬では火葬後の遺骨を祭壇に置いて弔いますが、それ以外については弔った後に故人を火葬する後火葬とほとんど変わりません。
また、交通の便が良くなった現代ではかつて前火葬が主流だった地域でも後火葬が一般的になっています。故人の顔を見て最後のお別れを行うのも後火葬が広く普及した理由です。一方で気温が高い夏季など、特別な事情で前火葬を行うケースも少なくありません。