告別式は葬儀と同じものと思われていることもありますが、実際にはこの2つのものは全く異なります。後者は宗教的に亡くなった人を供養するためにおこなわれる儀式です。それに対して前者は、亡くなった人と社会的に別れるためにおこなわれます。
宗教の儀式のために葬儀をおこなうのは僧侶などが中心ですが、告別式は亡くなった人との別れを悲しんでいる遺族などが中心になっておこなわれています。こうした式は、江戸時代までの日本ではおこなわれることはありませんでした。
日本でおこなわれるようになったのは、明治時代になってからです。一番初めに開催した人として伝えられているのは、明治時代の有名な思想家です。この思想家が亡くなった時にこのような式を開催したのは、宗教とは関係のない式をしたいと希望していたからです。
このような方法が初めておこなわれたことにより、その後の葬儀の方法も変化しました。明治時代には人が亡くなった時には自宅で通夜をするのが一般的な方法で、その後に故人の棺と一緒に参列者が寺院やお墓まで移動していました。ですが、告別式が一般の人達の間でも広くおこなわれるようになると、上記のような方法で故人を弔うことも少なくなりました。